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第26回 「1/700万台」 FIAT UNO SELECTA


【森 慶太】
1966年静岡県生まれ。
筑波大卒。
自動車雑誌編集部を経て96年からフリーランスに。
著書に、「乗れるクルマ、乗ってはいけないクルマ」(三笠書房) 「『中古車選び』これだけは知っておけ!」(三笠書房) 「買って得するクルマ損するクルマ―新車購入全371台徹底ガイド」 (講談社)他多数。最近、子供も生まれ、家も建て、ますます精力的に世界中を飛び回っている。


 22歳で免許を取り、自動車雑誌『NAVI』に入社したときにはバリバリの若葉マーク。
廃車寸前の86レビンで夜毎筑波パープルラインに通い、みるみる運転の腕前を上げていった若き日の森慶太は、それから10余年、今や気鋭の自動車ジャーナリスト。
明快な論点、みずみずしい視点、の森慶太が駆る。イタリア車ははたしてどうなのか。


「ウーノ」ひとり勝ち


  皆さんプントってクルマを知ってますか? いまのプントは二代目で、その前はウーノって名前だったんですよ。文字どおりの初代。1983年に出たんでしたよ。パッケージングと内外のスタイリングをジウジアーロ大先生がお決めになった、それはもう名車でねえ……。初代プントと交代するまでの約10年にナンと700万台も売れたときいております。700万台つったらタダゴトじゃないですよ。いまこうやって書いてても不安なってくる。ナンかのきき間違いだったんじゃないかとか。たしか、W124(ベンツの旧々型Eクラス←これも名車)の生涯生産台数が260万台とかだったよなあ。あと、ついこないだまで現役だった元祖パンダが440万台とか。しかも四半世紀かかって。


不安なときはすぐ確認。ネタ元に電話だ。

−−あのさ、ウーノ700万台って間違いない?
「それで合ってるよ」

−−それにしても数字、すごすぎない?
「だって、当時ヨーロッパのBセグメントはウーノひとり勝ちだったから。対抗馬ってまだしもいえんのはかろうじてサンクや205があった程度で、あとはみんな三軍以下でしょ」

−−あーそう。じゃ、どうもありが……
「だってサ、メルセデスのW201と同じ時期のクルマじゃん? ウーノって。W201って
190Eね。較べると、室内はウーノのほうが広かったよ。そりゃあみんな買うでしょ」

−−あーそう。じゃ、どうもありが……
「だからそれで、ほかも急速にデカくなったわけ。Bセグメントのクルマが。ウーノって、つまりCセグメントにおけるゴルフみたいなクルマだったってことだよね。ということは……」

−−じゃあまたね。
ということで、サイトーヒロユキさんでした。ゴメンね。寝てるとこおこしちゃって。まだ昼前なのに。
「なにいってんの起きてたよもう」

  いずれにせよ、ウーノは700万台も売れたと。で、それ分の1が今回のおクルマでございます。それも、なんと後期モンのセレクタ。内外スタイリングのジウジアーロ純度が落ちていて、しかもCVTのオートマがついている。私だったら、たとえば『カーセンサー』とかヤフオクで見つけてもすぐトバすクルマですよ。「あー次つぎ」とかいって。でも、世の中いろんな人がいる。なにを考えてんのか、買っちゃう人もいる。しかも、わざわざそのことをカミングアウトしたりもしちゃう。カミングアウトっていうか、教えてくれた。なので、見せてもらった。さわるの10何年ぶりですよ、この仕様。乗るのは初めてかも。

  このウーノがなんで「あー次つぎ」かっていうと、要はCVTがコワいから。それとあと、乗れたもんじゃねえってアタマがあったから。「動いてるうちに即売れ」なんてことまでいうクルマ屋さんもいたりとかね。「乗れたもんじゃねえ」っていうのはパンダ・セレクタでの体験からきてて、でもコワい=いつぶっコワれるかわからないに関してはウワサのみ。せっかくなんで、当時現場にいた人の声もきいてみましょう。現イタリア自動車雑貨店店長、山崎さん。山崎さんは、FIAT系のディーラーでメカニックをやっていたことがあります。

−−で、ぶっちゃけどう? こっち方面のCVT関係は。
「いや、ヒドかったですねえ。ありましたよいろいろと」

−−あ、やっぱ。
「でも、なかにはいいのもあったんですよ」

−−「なかには」って(笑)、福引きじゃないんだから。それ、新車で買って困ってる人にいったらブン殴られてたよ。


革新的メカニズム?


   ちなみにプント・セレクタは前期型にもあって、それってキャブだった。そのキャブよりは、インジェクションになってるぶん後期型のほうがまだマシという説も一部にある。「いやホラ、CVTにかぎらずキャブのオートマってツラいものあるから。エンジンがグズつくのとか、マニュアルだったらある程度はクラッチ操作とかでゴマカせるけど、オートマはそれできないから」って、昔サイトーヒロユキさんがいってた。「だからホラ、BXでもあったじゃない? TZSとかTRSとか、つまりグレード名の末尾がIじゃないヤツ」。あー。

  それにしても、どうしてCVTはコワれるのか?  あるいは、初期のCVTはヤバかったのか? 実はこないだ某所で新型CVTの試乗会なんてのがありまして、せっかくだからとそんときエンジニアにきいてみた。したら、一般的なところでいうと油圧系のトラブルが発端になりがちらしいですね。フツーのオートマにもついてるのとよく似た迷路みたいな回路の一部がツマるかなんかしてプーリーをベルトにしっかり押さえつけとくことができなくなって=滑りが出はじめて、で変速はおろか普通に走ることもできなくなっちゃう。そうなったらアセンブリー交換しかなくて、新車の保証期間内ならともかく……ということになる。安い中古を買った人が地雷踏んじゃったら、普通廃車だろうねえ。どうでもいいけど、オートマがコワれて部品取り用になってるルノーのクルマを最近ちらほら見かけます。

  こうやって書いたの読むと、要はタコなフツーのオートマがいくケースとストーリー的にはあんまし違わない。ただ、CVTって本質的にすごくデリケートなんですよ。歯車のギザとギザが噛み合って力=トルクが伝わる、みたいな単純明解な仕組みとは違って。それの初期のもので、しかもイタリア車。

  ていうか、イタリアいったらオートマってある意味特殊車両だから(日本仕様166のパワートレインがどうして前と同じ3.0SOHC+4ATのままなんですか? ほかのエンジン用に新しい5AT使ってんのに、ってアルファのエラい人に質問したら、「年間100台とかしか売れないようなクルマのために巨額の投資ができると思いますか?」と返答されて「ウッ」てなったことがある)。イノチかけて適合や信頼性チェックその他の作業やってたとはちょっと思えない。そのへんのこといいだしたらいまのプントも似たようなもんかもしれないけど。マーチとかだって、CVTの信頼性はトルコンATのそれよりは低いと思う。

  あとゴメン。なかなかウーノの話にならなくてアレなんだけど、少なくともこのテのCVTってある意味効率悪いトランスミッションなのね。なぜかっていうと、単純な歯車to歯車のタイプと較べてトルクの伝達効率がハッキリ低いから。あと、変速してようがしてなかろうが常にプーリーに油圧かけてないといけないから。でもちろん、その油圧はエンジンの力でポンプを回して作っている。「そうでしょ?」ってこないだの新型CVT試乗会でエンジニアの人にいったら「そうです」って。ただ、変速しないでゆっくり淡々と走ってるときの変速機のエネルギー消費はフツーのトルコンATの場合と「そんな違わない」らしい。

  なぜかっていうと、フツーのトルコンATもポンプで作った油圧を使って変速したりどこかの段のギアをキープしたりしているから。もっとも、「そんなに違わない」ってことはまだ負けてんだろうけど。CVTがことさら大きなエネルギーをそれ自体で消費するのは、きけばデカいトルクを伝達している最中らしい。伝えるトルクがデカいぶん、プーリーをベルトに押しつける力もデカくしないといけないから。やっぱいずれにせよ、効率低い。要は、巡航時に思いっきり速い減速比を使えるってことぐらいでしょう。利点は。

  ところが、ヘーと思ったことにはニッ……じゃなかったジャト……でもなかったその某社の新型CVT、油圧を作るポンプにひと工夫あった。具体的には、入力軸直結でデカくてフリクションも大きくて効率の低いトロコイドポンプ……ではなくてちっちゃいベーンポンプを入力軸の回転をチェーンで増速して回している。明らかに効率がいい。またオタッキーな話をと思う人が多いかもしれないけど、これってたぶんすごい頑張ったのよ。だって、エンジン本体用のオイルポンプからして日本車はたぶんすべてが効率低いダサいトロコイド直結(この場合はクランク軸に)だから。ロスを少しでも減らそうと思うなら真っ先にやめるべきだってみんなわかってるのにやらないのは、要はメンドくさいから。いっちゃえば、誰も燃費のこと真剣になんて考えてない。エンジンのオイルポンプ、ベンツなんてとっくの昔からギア式ですよ。マネすんの得意なんだろうからさっさとマネしろって。

  逆にいうと、そこまで頑張らないとCVTのメリットがちゃんとは出てこないのかね。あとその新型、プーリーと金属ベルトの接触面の摩擦抵抗をビミョーに(そのサジ加減がすごいタイヘンらしい)高めたりもしている。なぜなら、油圧で押しつける力が少し少なくて済むから。とにかく、そうやってナミダぐましい努力をしてCVTをモノにしようとしてるわけですよ。なぜなら、カタログ燃費をよくするには手っとり早いから。あと、メーカー的には部品点数が少ないのもオイシイ(ベルトにかかってるたっくさんのコマも一個一個カウントされてるとは思えないけど、いずれにせよそんなのは下請けの担当分野だし)。安く作れるポテンシャルが高い。そんなんよりはフツーのMTをロボットに操てもらったほうがよっぽどイーじゃんとも思ったけど、でもあとひとつ快挙だったのは「トルコンは基本的に発進クラッチ専用で、走行中は常に直結です」っていうコメントをきけたことかな。そんなこと聞いたり読んだりしたの、ワタシ的にはアルピナのプレスリリース以来。あと、「エンジンで大事なのは全開性能よりも2/8とか3/8開度のときのトルクなんです」とかね。アッタリマエなんだけど、そのアッタリマエがアッタリマエじゃないから日本は。


珍しモン好き


  で、話はようやくウーノ君。持ち主はコジマさんて人なんだけど、彼の後期型セレクタのパワートレインはとりあえずまだ大丈夫っぽかった。少なくとも、なんのコワさもおぼえずフツーに走らせることができた。で、それに関してはコワれてなさそう云々もさることながら元々の特性のチューニングその他の正しさみたいなものがむしろ印象的だった。もっというと、日本のお客様の気まぐれでかつランボーな運転や日本の10・15モード(カタログ記載の燃費を計る際の走りかた……当時はまだ10モードだけか)に合わせこんだヘンな制御が入ってない。

エンジンも、下からしっかりトルクがでてるし。いたらぬ点がまったくなくはなかったけれど、イカレたものではなかった。だから運転しやすかった。これだったら、「多少のクセはすぐ慣れる」と書いても問題ないでしょう(マトモな運転でちゃんと走らせることをハナから前提としてない作りのクルマは慣れる慣れない以前に論外)。ちなみに、発進クラッチはトルコンではなく磁性粉を使ったタイプ。普通の乾式クラッチをアクチュエーターで断続するよりもラクだったんでしょう。制御の都合上。

実はこないだ、知り合いの編集者が買ったECVTレックス(ヴィヴィオですらないってところがポイント)にチョイ乗りしたんですよ。4気筒で660ccの。したら、それもよかった。ドライバビリティがめちゃめちゃ素直でわかりやすくて。「すごいイイじゃないですか」ってオーナーにいったら、「エアコンつけてないからじゃないすか?」っていわれたけど。

うーん(話をどうつづけるか困っている)。たとえばお菓子、あるじゃないですか。いろんな駄菓子。清涼飲料とか食品全般でもいいんだけど、とにかくいまのものってすごく巧妙でしょ? 工業製品的に作られてるのって。特に舌がスルドくもない普通の人がうっかり食べちゃうと「美味いじゃん」て思わずにいられなくなるように、いろんな化学調味料とか駆使してテッテー的にチューニングされている。カラダによくないのはもちろん、感覚狂ってっちゃうのね。そういうのに慣れるにつれ。フツーにちゃんとしたものを食えなくなっちゃう。あるいは、美味いと思えなくなっちゃう。似たようなことは、実はクルマでもおこってますよ。というか、もう戻れないとこまできてると思う。特に日本は。

たとえば、「(速度は)もうこのへんで十分だ」って感じで右足止めてんのに勝手にスピード上がってっちゃうクルマとかね。普通にあります。というかほとんどそれ系。国産のオートマ車は(マツダのアクセラ1500は違うかな、たとえば)。で、そうなるとワタシなんかは「あちゃー」と思って戻すんだけど、これがなかなか落ちない。速度が。そういうのの積み重ねですごくイライラしてくる。

ごく普通のドライバーは、そんなの気にしないですよ。速くなりすぎたと思ったらパカッとブレーキでしょ。でまた、加速したくなったらベチャッとアクセラレーター。自分の運転しているクルマの速度をビミョーに、あるいは正確にコントロールしようって気持ちがいよいよもってなくなっちゃう。ていうか普通の人はハナから希薄なんだから、クルマとしてはいやでもちゃんと運転させるような特性になってないとイカンわけ。でも、感覚がおかしくなりきった状態でそういうのに乗ると逆に違和感だったりしちゃうのね。で、それってたとえば、普段の食生活を全部セブンイレブンいい気分に頼ってるようなコドモがイナカのオバアチャンの手料理食って「まじゅいー!」っていうのと同じ。そらまあホントに不味い場合もあるでしょうけど、でもいたらぬものとイカレたものはいっしょじゃないですから。断じて。

まあでも、イカレたものがあるからこそイカレてないもののありがたみもわかるってのはある。クイモンでいうと、たとえば何百年も前だったらイカレてないもんしかなかったからイカレてないのがアタリマエ。でもいまは状況が全然違う。ワタシがFIATとかイイっていうのも、いってみればクソしょーもないクルマに何十台も何百台も乗ってアタマきた体験があるからであってね。イタリアに住んでてパンダやプントしか買えない普通の市民に「FIATサイコー! ブラビッシモ!」とかいったところで、「お前バカか?」になるのがオチだと思う。そらあ、ヤリス(=ヴィッツ)乗って喜んじゃうのムリないですよ。

あるいは、モリケータも考えたんだと思う。ガイシャ好きとか珍しモン好きとか判官ビイキとかいわれる……のは別にどうでもいいとして(実際そのケがないとはいえないし)、でもそれじゃあ自分がイイと思うクルマをなぜイイと思ってるかを説明するための十分な理由になってないから。で、とりあえずの結論として「基本がマトモだから」ってところに落ち着いたわけ。ラテンのアツい血(笑)とか心底関係ない。編集者とか自動車メーカーの人とかによく「どっち方面のクルマが好きなんですか?」なんてきかれるんだけど、それも「ハァ?」って感じですよ。

イタ車だからホメるとかフランス車だから悪口いわないとか、そういう人もいるみたいだけど(婉曲な表現)。あと、話だいぶ違うけど最近雑誌等で目に余るのが「リーズナブル」って言葉の用法ね。金額の絶対値が小さいこと=リーズナブル、ではないから断じて。たとえ車両価格1億円でも文句なし「リーズナブル」なクルマってありうるよ。少なくとも理論上は。だいたい、シートベルトの設計からして安全に反してるようなクルマが同クラス(と呼ぶのすらためらわれるけど)の外国モンより50万円安かったとしてそれのいったいどこが「リーズナブル」かってーの。


極上のウーノセレクタ


  しかし今回、ウーノの話に全然なってませんね。このまま終わるのもナンなので書くと、コジマさんの後期型セレクタは程度、よさげでしたよ。タイヤやアシ関係はそれなり終わってるみたいだけど、いわゆる内外観はかなり高ポイントだから写真見て楽しんでね。これで毎日暮らしてるってんだから大したもんだ。やっぱウーノは名車だねえ。気持ちいい。CVTも、コワれてないかぎりはゴキゲンだあ。

あとそう、彼のコメントとして「最近の自動車雑誌はイマイチつまらん」なんてのは印象的でしたねえ。ムリもないとは思うけど。「何度も繰り返して読める原稿ってのがなかなかないんですよ。あるとすれば、それこそサイトーヒロユキさんとか、ササメさんとか……」。わかるわかる。って、あともう1人ぐらい誰かいないの?! ていうか、あと1人。サービスでいいから名前いってよ。ほら、アタマにモがつくヤツで。ルノーに乗ってて。最近家建てたりもしてて。わかるでしょ?
「あ、森口将之さん」。

てめーシバくぞ。こんなCVTなぞ俺様がコナゴナに……と思って下見ると、レバーのゲートのDの後ろにDsポジションがあるではないですか。これって早い話がエンジンブレーキ積極使用モードで、基本のお約束として最高速度で巡航してる真っ最中に入れてもオッケー。便利なんだよねー最近あんま見ないけど。くだらねえ±マニュアルモードよりよっぽどイイなのにねえ。なおご参考までに、トヨタのシエンタのCVT(しかない)はDsあり。しかもD→Dsのレバー操作がすごくやりやすい(見なくて全然オッケー)。CVTそのものはもはや旧世代みたいだしあと日本車のお約束で勝手に速くなったりもしたけれど(だから論外なんだけど)、常にボヤーッと変速して変速機の存在を忘れさせるっぽいその制御はちょっと「オッ」と思ったですよ。それでも、今回のプントとかさっきいったレックスと較べたらワザトラしかったけど。

あとやっぱ、いまあるCVTのクルマで白眉つったらプント・エモーションでしょう。エンジンを低回転高負荷(2000rpm付近の全負荷=スロットル全開に近いところあたりで、ガソリンエンジンの1ps×1時間あたりの燃料消費量は最小になる)で使わないとCVT(にかぎらないんだろうけどホントは)はオイシくないってことをよーくわかったチューニングで、かつまたエンジン本体の特性もそれに対して元々バッチリで、とにかくサイコー。エコノミーモードにすると4000rpmより上はナニやっても回らなくなって、ということは4000rpm上限固定で負荷≒スロットル開度だけどんどん上げてくことができて、それってつまり最大トルク(エモーションだと発生回転数はそのまさに4000rpm)を心ゆくまで使えるということでもある。普通のMTやトルコン+遊星ギア列のATと違って段の切り替えやトルク切れの瞬間がないから、それこそスタート直後からビターッと4000rpm張りつきですよ。もちろん最高速度は出せないんだけど、気合の入ったトバし屋にとってこんなにおいしい、しかも効き目のあるエコノミーモードはないでしょう。クルマのデキその他に関してお国柄をどうこういうのは好きじゃないけど、ここはさすがに「さすがイタリア人」ていうしかない。だってある意味、積極的に全開にしてもらうためのエコノミーモードなんだもん。やっぱラテンのアツい血……おっとっと。

そのようなことを新型CVTのエンジニアの人にアツく語ったら、彼答えていわく「そんなの、制御的にはごく簡単なことですよ」。じゃあやってみてくれできるなら、といったところ、「でも、スイッチいっこ増やすことすら許されませんから」。あらまあ。ちなみに、許されない理由はコストが余計にかかるから。「そうじゃなく、スロットル開度とか車速とかの情報でクルマ側が自動的に判断して変速制御をするようにはいわれますけどね。エコノミー重視なのかパフォーマンス重視なのかを検知して。プログラムで対応するぶんにはコストかかりませんから」。

ということで、同情半分呆れ半分。スマイル0\かってーの。スマイルだってホントは0\じゃないと思うけど(下請け企業の社員の残業なら0\かも……なんていったりして)。だいたい、FIATのみたいなエンジンを日本のメーカーが作れるようにそのうちなるとも思えない(マツダはちょっと別として)。もっというと、「4000rpm上限固定で、場合によっては全開で走りたい」みたいなドライバーの気持ちをどうやってセンサーで検出すんの? 無理でしょそれ。くだらん3列シートのぶんのコストの何分の1か何十分の1かのコストでつくのに。あるいは、くだらん±シフトの凝ったゲートにするのやめて浮かしたぶんでオッケーじゃない?

ということで、図らずもここ最近で相次いでCVTな体験をしましたよ。ミニ・クーパーなんかにも乗ったしそういえば(試乗記でトルコン云々とか書いちゃったけど実は油圧多板クラッチだったとあとでわかって大恥)。で、その最初がこのウーノだったと。日本のクルマのパワートレインに関してひとつ思うんだけど、ホントに運転しやすくて燃費もいいヤツ作りたかったらカタログ馬力やカタログ燃費にこだわるのをやめることでしょ。でも、たぶんそれって不可能なんだよねえ。だったらせめて、10・15モードみたいなイビツな測定法をやめちゃあもらえまいか。排ガス関係もふくめて、実際の使用環境を反映してなさすぎるから。あまりに。ただどういうわけか、現状でもたとえばマツダのアクセラの1500とかイヨーに乗りやすいんだよねえ。カタログ燃費とか諦めてるのかな? いやホント、びっくりするから乗ってみ。レンタカーとかあるはずだから普通に。

今回もまた、とりとめもないまま長〜い原稿になってしまいました。読者の皆さん、スイマセン。普段行数ビッチリ決められてるなかでしか原稿書かないからその反動かもしれない。行数ビッチリ決まってるとすごいラクだし見事にピッタリ終われるんだけど。それと、書いてる時間もすげえ短いんだけど。効率からいったら、このコラムは悪いねえ。スローライフ、とかいったりして。エスティマがスローライフならこれだってスローライフだろ。うはは。ではシーユーアゲイン。

これが新型CVTのベーンポンプその他です。トロコイドのほうの写真撮るの忘れちゃった。 灰皿ひとつとってもオシャレ。マジで。 灰皿ひとつとってもオシャレその2。

なんかキレイ。すごく。こういうの見ると、ほしくなる。中古車は、見た目がすごく大事だと思う。大事にする元気もそこからくるような気がするし。 元ディーラーのメカニック


[Information]
※当ページでは、森慶太氏の試乗車を大募集しています。
森慶太氏に自分の車を斬って欲しい!!という勇気のある方、 是非是非、お申し出ください。
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