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第11回 ヤジロベエみたい Alfa Romeo 旧spider


【森 慶太】
1966年静岡県生まれ。
筑波大卒。
自動車雑誌編集部を経て96年からフリーランスに。
著書に、「乗れるクルマ、乗ってはいけないクルマ」(三笠書房) 「『中古車選び』これだけは知っておけ!」(三笠書房) 「買って得するクルマ損するクルマ―新車購入全371台徹底ガイド」 (講談社)他多数。最近、子供も生まれ、家も建て、ますます精力的に世界中を飛び回っている。


 22歳で免許を取り、自動車雑誌『NAVI』に入社したときにはバリバリの若葉マーク。
廃車寸前の86レビンで夜毎筑波パープルラインに通い、みるみる運転の腕前を上げていった若き日の森慶太は、それから10余年、今や気鋭の自動車ジャーナリスト。
明快な論点、みずみずしい視点、の森慶太が駆る。イタリア車ははたしてどうなのか。


新車よりも程度よし



こんなにボロい、じゃなかったボロいの反対の旧型スパイダーがあったとは。おろしたて(オドメーター200kmとか)の広報車もふくめて何台か乗ったうちで、明らかに今回のがいちばん程度よかった。ということは新車よりヨカッタ。走行6万4000kmなのに。いやもう、オメデトウゴザイマスとしかいいようがない。オーナーの室塚博史さんはモリケータと同じ昭和41年生まれ。トシオトコ。

 私が試した経験からいうと、基本的に旧型スパイダーは経年変化に強い。新車時から特にボディのガッチリしたクルマではなかったけれど、ずっと後になって乗ってみてもそのガッチリ感が変わっていない。新車を知らずにいま乗って、悪い舗装の上とか走って「さすがにけっこうヨレヨレだねえ」と思った人にひとこといっとくと、それ、最初っからそうですから。リアのデフのマウントのゴムとかはちゃんと気にする必要あるらしいけど。

 パッと見の印象からして明らかにドきれいな今回のムロヅカ号の場合、そのヨレヨレ感が明らかに新車より希薄。クルマに優しい空気圧設定がなされた標準サイズBSレグノ(オトシン対策スペシャル)の効果もあったのかもしれないけれど、とにかくオドロキ。停止状態で焦ってローにシフトすると少々イタがる(ゆっくり入れてやればすんなりオッケー)のがまだしも中古車っぽいかなあというぐらいで、エンジンの感触あたりもスムーズのきわみ。メカニカルノイズがほとんど聞こえなくて甘く太めな排気音だけが耳に届いてくるこの感じ、いやあアルファだねえ。たまらん。
----このクルマ、どこで買ったんですか?
室塚 あ、デルオートで。
----第三京浜の川崎インターのとこの?
室塚 そうですそうです。
----内藤陳にちょっと似た社長さんがいる。
室塚 松田さんていうんですけどね。
----そうそう松田さん。
室塚 アチコチでいろいろ見たんですけど、これがいちばんキレイだったし。それと、この色のがほしかったんですよ。
----プロテオ・レッド、でしたっけ? たしかに、色みそのもの以外にもコダワリどころのある色ですね(プロテオ・レッドのプロテオとはプロトタイプのことで、164Q4に採用されたヨンクは最初これでお披露目されたのではなかったか?)。で、いかほど?
室塚 180万円で。
----あ、それは安い。すごく安い。
室塚 いい買い物だったと思ってます。
----だって新車より程度いいんだから。
室塚 前のオーナーがものすごくていねいに大事に扱ってたんですよ。
----ガレージ保管系の物件に見えますね。ところでムロヅカさん、名刺にある「メディアイノベーション事務局ビジネスソリューションチーム」ってのはどんなオシゴト?
室塚 要するにIT関係です。
----わかりやすい説明をどうも。



ユーノスより速い



 

旧型スパイダーは、その特徴としてホイールベースが非常に短い。たしか2100mmぐらいしかない。軽自動車よりずっと短い。で一方、前後のいわゆるオーバーハング部分は明らかにデカい、というか長い。エンジン搭載位置もけっこう前よりだし、またトランクの床下には燃料タンクがある。曲がるの大好きなんだけどイヤな敏感さがなくて直進安定や乗り心地も悪くないのはその基本ディメンションによるところが大きいと私は見ている。

 運動性と快適性の妥協点を上げるためのテとして最近はロングホイールベース+ショートオーバーハングがむしろ一般的だけど、つまりそれとまったく逆のことをやっている。ビシッとではなくフワッと落ち着いた独特のクルマの動きはさしずめヤジロベエみたいで、そういったらムロヅカさんも納得してくれた。ドライバーがホイールベースの真ん中にいるような感じもふくめてヤジロベエ。  

 エンジンや足まわりの設計は、皆さんがよく知っている古いジュリア系と基本的に同じ。フロント(ダブルウィッシュボーン)のロワーアームにバネの受け皿(?)がついてるところとか、あるいはリアの伸び側のストロークを布のベルトで規制しているところとか、左右2本のトレーリングアーム+デフのとこで1箇所T字型のアームで吊ってるところとか、とにかくおんなじ。下から覗き込むとその見た目のアンティーク度のキョーレツさにビックリする。だいたいこのリアサス、方式としては戦後第一世代から同じといえば同じだし。  

 ただし、そのアシが乗ると非常にイイ。舗装の荒れようと速度の関係によってはドタつくこともあるけれど、概して接地性は非常に高い。特にリアの。横方向の支持リンクをもたないリジッドアクスル特有のユラ〜リ感は初代レンジローバー(基本的に同じ方式)にも通じるアジでまたたまらない。初めて体験すると不安になったりあるいは「うわ古ぃ〜」とか思ったりするかもしれないけれど害はない。というか、そのユラ〜り感は高い接地性(あるいはピーキーな接地変化をしないこと)とセットなのだからむしろ喜ぶべし。  

 旧ジュリア系に関して、「サーキット走ると155なんかより速いんですよ」なんて体験者あるいは達人はよくいう。「またまたぁ」なんて思ったりはするけど、でもそれ、あながちウソではないかもしれない。実際、このスパイダーも峠でユーノス(当時)より安心してしかも速くトバせたりしたし。行ったなあ鳥海山(たしか秋田県)。



ワケがある。偶然じゃない。

 乗って楽しむうえで、いまのクルマと旧スパイダーの最大の違いは運転のテンポというかリズム感だ。パラパラでもブレイクダンスでもナンでもいいけど、いまの多くのクルマがそういうものだとすると旧スパイダーはさしずめワルツ。単にメトロノームの往復感覚の速い遅いともまた違って、要するに流れるように運転してやるとキレイにキマる。「設計の古いクルマなんだからノンビリ接してあげましょう」みたいなのとも少々違う。


 

実はこれはドライビングの本質に関わってくることだから本当はクルマの古い新しいには関係ないことだけど、とにかくカドのたった操作をやってはいけない。それではスパイダー君はキレイに動いてくれない。ヤジロベエはブレイクダンスには向いていない。といってスパイダー君が狭量でガンコなじじぃグルマかというとそれもまた違う。“対話”とかいうとこっぱずかしくなるけれど、要するにクルマの反応を謙虚に素直に受け止めつつ「じゃあこうすればいいのかな?」って感じで試行錯誤しつつやっていけばある程度誰でもキレイに動かせるようになる(そういう気持ちがない人はダメ)。そのへんがわかってくると古いクルマはおもしろい。たんに見た目が絵になるとか、あるいはFRはツウだとかいったレベルを超えたところに入っていける。  

 たとえばギアレバーひとつをとっても、奥〜のほうから長く伸びてて(要するにダイレクトだから)操作ストロークが長くて動きがノンビリ系でそれが「ヘンだ」とか「ヘンだけどオモロイ」とかいうのは好き好きだけど、そのレベルで留まっていてはつまらない。慣れてくるとわかることに、クラッチを切ってシフトアップ/シフトダウンしてまた繋げるまでの時間とその間のエンジン回転の落ち幅/スロットルの中吹かしに対するエンジン回転の上がりかたが見事にシンクロしている。流れるようにキマる。クルマの声を素直に聞きながら運転していると自然とそうなってしまうような操作特性になっている。フライホイールの質量までふくめた絶妙のチューニング。作った人にきいたわけではないけれど、あれってゼッタイ偶然じゃないと思う。



次なるターゲット



 

ヘンな話、いまの日本車のMT(もっといえばオートマもふくめて)なんかよりよっぽど運転しやすい。少なくとも、隣の人のアタマをカックンさせずに運転するのはラク。エンジンの低速トルク特性もめちゃめちゃイイし。ムロヅカさんは私の運転する横に乗って「最初からキレイに動かしますねえ」と言っていたけれど、要はそういうことです。あとは、いまのクルマとだいぶ違うポジションその他に慣れてるかどうかだけ。  

 その運転ポジションにも、たぶん何らかのワケがある。揺り籠に入った赤ん坊みたいな感じで全体に後傾してるんだけど、これだとハンドルにしがみつくような姿勢はとれない。強引な操舵アクションを自然とやらなくなる(どんなクルマだろうと私はしないけど)。いまよりはるかにプア(かつマイルド)だった60年代のタイヤ特性を考えると、これも見識のひとつであるような。って、思い込みが激しすぎるかなあ。あと、長距離ラクそう。

 そういうわけで、今回のクルマもまたもやよござんした。いいクルマだってことは知ってたけど、とにかく個体のコンディションがめちゃめちゃよかった。内外観機関ともに。もし仮にワタシが旧スパイダーのイイやつをどうしても欲しいと思っているとしたら、ムロヅカさんを口説く。「買った値段でいいから売ってくれ」って。あるいは、「売るときはゼヒ一声ワタシに」とかって。ただし、ムロヅカさん的には売る予定もつもりもないらしい。それどころか、増車で328(ビーエムじゃないよ)を買いたいとかいっていた。「ハンダを盛ってそれを削ってエッジをキレイに出してるとことか、いいですよねえ」だって。オタク。

 スパイダーに関して参考までにいっとくと、動きのリズム感や優美さはFFになった現行型も基本的には同じです。というか、大いに通じるものがある。特に、2.0TSはそれが濃厚。はじめて乗ったとき、「ハードウェアは別モノになってもココロは同じなのね」とわかって嬉しかった。328と348の関係もそうだけど、程度や年式によってはほとんど新旧逆転しちゃってるじゃないですか最近。価格が。そういう意味では狙いメかもしれないですよ。



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